はじめに
お子様の高専へのご入学おめでとうございます。
高専は、産業界の求める即戦力となる技術者を、たったの5年間で育成する教育機関です。
高専卒業者は、大学工学部卒業者と同等かそれ以上の能力を有していると言われています。
当然、高校と大学工学部卒の計7年間に相当する内容をたったの5年間で履修する以上、授業の内容はとても濃いものとなっています。
その濃い内容を、根気強く学んでいくためには、保護者様の支援がとても大切だと思います。
お子様が、より良い高専生活を送れるよう、ご尽力いただけますと幸いです。
入学後の提出書類
宿所届
沼津高専生は、毎年4月に「宿所届」というものを提出する必要があります。
この書類には、通学方法・通学時間・家族の状況などを書いて提出する必要があります。
例年、この宿所届の提出期限はゴールデンウィーク明けに設定されますが、期限までに提出を忘れる人が多く存在します。
入学後のバタバタした中で、宿所届は提出期限が多少長いことも相まって、提出を忘れられやすいです。保護者の皆様には、「宿所届を出したの?」とお子様に聞いていただくなどしていただけると幸いです。
保護者情報変更届
学生や保護者の本籍ないしは住所が変わった場合、遅滞なく、沼津高専にも届け出る必要があります。
成績表の送付や、教育後援会などの書類は、保護者住所に届きますので、引っ越しをされましたらできるだけ早めに届出をされることをお勧めします。
保護者情報変更届は、学生課前の書類BOXに置かれています。
アルバイト願
原則としてアルバイトができるのは長期休暇のみですが、3年生以上の経済的な理由のある学生に限って長期休暇以外の期間もアルバイトを行うことが可能です。
ただし、3年生以上であっても寮生は、寮にいる期間は、原則としてアルバイトはできません。(長期休暇の閉寮期間中はアルバイトができます。)
アルバイトをする場合、例外なく、アルバイトに従事する前までに、「アルバイト願」を提出する必要があります。
このアルバイト願には、保護者の署名捺印が必要です。
アルバイト願も、学生課前の書類BOXに置かれています。
奨学金制度
沼津高専生の1~3年生は、高等学校等就学支援金を受給することができます。受給額は保護者の所得に応じて、最大授業料の全額を受給することができます。
また、保護者の所得に応じて、日本学生支援機構(JASSO)の給付・1種・2種奨学金を利用することが可能です。
それ以外にも、静岡県にある学校の学生のみが応募できる奨学金や、特定の条件(居住市町村等)を満たす学生のみが応募できる奨学金などもあります。
沼津高専のホームページに奨学金一覧の記載があるほか、一部の奨学金の募集があった場合は、学校の担任の先生を通じて学生にも案内が行われます。ぜひ、条件に達している場合奨学金の申請を行うことをお勧めします。
高専の勉強法
私の身の回りでも、「高専の入試」の成績は良かったものの、「高専入学後」の成績が振るっていない友人というのは、結構たくさんいます。
逆に、「高専の入試」は、合格ぎりぎりのラインを滑り込むようにして入学してきたものの、「高専入学後」の成績はクラスでトップクラス!みたいな人もいます。
高専は、中学校と違い、塾があるわけではありません。
また、暗記をすればテストで100点を取れるわけではありません。
高専における勉強法は、中学校の時の勉強法とは大きく変わります。
高専入学後に、日々、自分で学んでいく努力をする習慣をつけれなかった場合、5年間苦労することになると思います。
外部単位制度
沼津高専では、授業を通じて与えられる単位の他、外部単位制度を通じて与えられる単位が存在します。
外部単位制度とは、沼津高専があらかじめ定めている国家資格や公的資格を取得した際に、沼津高専における単位として認定する制度のことを言います。
外部単位制度を通じて得た単位も、進級や卒業判定時における単位数として加算されます。
外部単位を取得しておくと、進級に余裕が生まれ、5年次の選択科目を取らなくても卒業ができる状態になります。
個人的には、外部単位制度はめちゃくちゃおすすめな制度です。
外部単位制度としてあらかじめ定められている国家資格等は、産業上一定の需要のある資格が多く、卒業後に必ず役に立つ資格と言っても過言ではありません。
産業上有利な資格が手に入ってしまうことに加えて、単位までもらえる外部単位制度って、めっちゃお得だと思います。
個人的には、危険物取扱者乙四や、知的財産管理技能検定3級がおすすめです。
成績表
定期試験の結果に基づく、各教科の評価点が書かれた成績表は、例年、以下のスケジュールで保護者に対して送付されます。
前期中間試験→6月下旬~7月上旬
前期末試験→10月中旬~11月上旬
後期中間試験→12月中旬~12月下旬
学年末試験→3月下旬
評価点は、成績が確定した後、お偉い先生の会議で承認されてから保護者に送付される関係上、テストの1~2か月後に送られます。
成績表が届くのが遅いのは、学生のせいでも、担任の先生のせいでもありません。お子様に「成績表来るの遅い!」といったところで成績表が早く届くわけでもないので、気長にお待ちください。
進路
お子様が希望する進路によっては、1年次からの席次が進路に大きな影響を及ぼします。
例えば、東京農工大学の推薦入試の編入学は、1~4年次の平均席次が上位20%であることが求められています。40人クラスの場合は、1~4年次のクラス内席次の合計が32位以内である必要があるということです。
この場合、1年次に20位という順位を取ってしまった場合、2年次以降で4位以上を取り続けないと推薦入試の受験資格すら得ることができないことになります。
そのため、編入学を目指している場合、1年次から席次を意識して勉強をすることをお勧めします。
あくまでも例年の傾向として、高専卒業生のクラス内席次上位半分の人が大学や専攻科への進学、半分以下の人が就職という進路を取ることが多いです。
あくまでも傾向ですので、例外はいくらでもありますが、お子様が卒業後の進路決定をする際に、進学と就職の選択肢をどちらでも取れる状況にあってほしいと思います。消極的に就職を選ばざる負えないというのは、あまり好ましいことではないと思います。
保護者が参加できる行事
沼津高専では、年に何回か保護者の参加できる行事があります。
新年度が始まるとすぐに、保護者懇談会が行われます。これは、保護者と担任の先生が参加する物です。
夏休みには、保護者面談が行われます。学生も含めた3者面談とすることも可能です。面談の大まかな日程が郵便で送られますので、それを参考に学校にお越しください。日程が厳しい場合、別の日にしてくれる先生が多いですので、学生を通じて担任の先生に日程変更をしたい旨をお伝えいただけると良いと思います。
例年11月に、学科説明会と授業参観が行われます。
学科説明会は、学科ごとに行われる報告会のようなものです。主にその年度の進学・就職状況の報告や、当該学科の1~5年の各担任からのクラスの様子などの報告などが行われます。有益な情報が多いですので、ぜひ参加いただくと良いと思います。
授業参観は、中学校のように、特定の1授業のみが公開されるようなものではなく、授業参観期間の1週間の授業すべてが授業参観の対象となっています。制度上は、参観期間中に実施される全ての授業を参観することも可能ではあります。
個人的に1年次の授業の中で、ぜひ参観してほしい授業は、「情報処理基礎」と「基礎数学Ⅲ」です。
最後に
私なりに保護者の皆様が知っておいたら良いと思うことをまとめましたが、いかがでしたでしょうか。
これ以上のことは、ママ友に聞いていただけたら良いと思います。
沼津高専生の5年卒業率はおよそ80%です。沼津高専に入学した5人に1人は5年間で卒業できません。逆に言えば留年はそこまで珍しくないともいえるかもしれません。
単に努力不足・演習不足で留年をしてしまう人が多い印象がありますが、留年をした人全員が必ずしもそうだとは思いません。
沼津高専が運営している、学生生活支援室、高専機構が運営しているKOSEN健康相談室、担任の先生などが様々な相談に乗ってくれると思いますので、ぜひ活用していただくと良いと思います。KOSEN健康相談室は保護者も利用することが可能です。(利用にはユーザーID、PWが必要です。担任の先生若しくは沼津高専学生課学生係・学生生活支援室にお問い合わせください。)
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